サミュエルよりの手紙15

世界を一つに纏め上げる動きが活発だ。
EUにより欧州は一つ、NAFTA(北米自由貿易協定)とCAFTA(中米自由貿易協定)により北米と中米は一つになっている。
TPPが批准されれば、環太平洋に一つの経済圏が出来上がる。
米国とEUの間でTTIP(大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定)が実現すれば、大西洋を挟んで一つの纏まりが登場する。
一方、米国はNAFTA、CAFTA、TPPに入っているから、米国をハブとして、北米、中米、環太平洋、欧州が一つに纏まる。
他方、アジアにはASEANがあり、ASEAN+3(AMRO)(アセアン+3マクロ経済リサーチオフィス)という代物もある。AMROには日本も入っていて(中国と韓国も)、日本がTPPにも参加することになれば、日本をハブとして、環太平洋とアジアが一つになる。
かくて、EU、TTIP、NAFTA、CAFTA、TPP、AMROとネットワークが繋がり、世界統一に近づく。
この世界新秩序の共通言語は英語になりそうだが、サミュエルは、このグローバル化現象を見るにつけ、『聖書』創世記第11章のバベルの塔の話を思い出す。昔々、人々は一つの言語を話し、一か所に集まって天まで届く塔を建てようと試みた。神を神とも思わない不敬な人間達を見て神はお怒りになり、彼らの言語を乱し地球のあちこちに散らされた、という話だ。
サミュエルは子供の頃、この話に不満だった。国境を越えて一つに纏まり、一つの言葉で、一緒に大きなことに挑戦して何が悪い、と思っていた。しかしながら、現在の欧州の混乱ぶりを見るに、やはり、国境を意識しての営みのほうが人間の分に合っており、地球村建設は人間には無理なのではと考えるようになってきている。
そもそも、国境を取り払おうと試みる人々により、通常紛争や摩擦は引き起こされる。もし人々が皆愛国者で、自国が好きで、自国内に留まるならば、国際紛争は起きない。
国境があるのが不満で、それを打ちこわし、地の果てまで我が物顔で動き回ろうとする者は、有史以来、何人も登場した。しかしながら、世界制覇は上手くいきそうに見えて、結局挫折している。各地の愛国者達が立ち上がり抵抗運動を試みるので、そもそも、世界統一などできはしないのだ。
国がなくなり地球村が実現すれば平和になる、と信じる人は、現代の資本主義者の中にもいる。国境を気にせず事業展開したいグローバル企業家らの敵は、まず自国の安寧を、と主張する愛国者達だ。前者は後者を排外主義者などと呼び、何とか抑え込もうと必死だ。しかし、英国のEU離脱への動きや、米国での反TPP政治家の躍進から判断するに、バベルの塔建設は今回も失敗するに違いないとサミュエルは確信している。
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